この1年間私たちは、公立高校入試対策として、少し例年にない動きをいたしました。原因は公立高校入試の出題内容の変化に対応するためでした。  今から2年前、公立高校入試の国語の出題で120文字で答える問題が出題されました。その時私たちはこの問題が2020年のセンターテスト廃止にともなう教育改革の先行変化ととらえました。それは、特に表現力を問う問題です。

  また、昨年の社会科の地理の問題は、資料を読み取る問題に大きくシフトしました。もはや地理は記憶教科ではないといえる状態になったのです。思考力や判断力を問う問題です。

 さらに今年の春の入試の変化は、全教科にわたる大きな変化であったと言っていいと思います。

「思考力」「判断力」「表現力」を問う教育改革、その改革は、高校と大学の接続改革というふうに呼ばれてはいますが、教育の世界では長年にわたって、大学入試が変わらなければ、中学入試や高校入試は変わらないと言われてきました。さらには、その変化によっては学校教育そのものが変わるとも言われています。その最初の変化として入試が変化していると考えた私たちは、その先行変化に対応していこうと考えました。私たちは教育改革の最先端で、今年起こるだろうと予想してこの変化に対応したのです。そして、「思考力」「判断力」「表現力」を少しでも鍛えていこうとしたのです。

ここでもう一度、2020年に予定されている教育改革の内容について、確認いたします。

改革内容1.センターテストが廃止され、高2の時に受ける基礎力テストと、高3で受ける大学入学者を選抜するテストにかわる。

改革内容2.記憶中心のテストではなく、「思考力・表現力・判断力やコミュニケーション能力」を問う問題に変わる。

改革内容3.新中2学年からこの改革を実施、新小4からはコンピュータによるテストが計画されている。

改革内容4.教科の枠組みを超えた出題が行われ、個別大学の英語は外部テストを導入する大学が多くなる。

改革内容5.推薦入試だけ、AO入試だけで簡単に入学できるというような枠組みの入試はなくなり、同じ推薦やAOでも十分に学生のことを調査する難化した入試に変わる。

これらの変化のうち、上の改革内容2は、入試の形式の変化ではなく、どのような能力を「学力」として評価するのか。学力観の根本的な変化です。もちろんそういった学力観は以前から言われてきたことですが、それに対して実際の大学入試は知識偏重・記憶中心のテストに終始していたのです。今回の改革は根本的な改革と言えます。