ぼくらがめぐりあう なにもかも
すべては過ぎゆく 流れゆく。
人生はしょせん かりそめの一瞬か。
しかしそれでも花はその一瞬のために必死で咲く。
まして、一篇の詩、一枚の絵はもしかしたら、
あるひとの心に永遠に生きることがある。
ぼくらはだからそれを求める。
ところであなたは・・・。
                                やなせたかし「詩とメルヘン」より
この詩は、サンリオ出版から出されていた「詩とメルヘン」という月刊誌の巻頭言の一つ。「やなせたかし」先生は「あんぱんまん」で有名。私は、彼が編集長を務めていた「詩とメルヘン」を中学から高校・大学時代まで愛読し、何度か詩を投稿した。そして、先生とお会いする機会を得たのは私がまだ20代のこと。先生はよく歌を歌われた。あまりお上手とは言えないと言えばおこられるかもしれないが、河浜が歌をやっていることをお話しするとますます大声で歌われた。
  さて、先生は、詩が「あるひとの心に永遠に生きることがある」と書かれている。では教育はどうだろうか。教育こそが心の中にずっと影響を与えつづけ、教育にふれることで、その子の人生を少し変えることがあると思う。
  何年か前、40歳を超えた卒業生から真夜中に電話があった。話は彼女のお父さんが亡くなったということだった。そんな人生の節目に、話したくなったと電話してきたのだ。
 別の日、結婚が決まった卒業生が、結婚式に出席して挨拶をしてほしいと連絡してきた。努力家とは言えなかった彼が努力を重ね、公務員として社会のお役にたっているのは、学習共同体での生活があったからだと言ってくれた。
  上の詩の最後の一文「ところであなたは」に、こたえるならば・・・、ぼくらは教室の中で子供たちを揺さぶる一陣の風でありたい。そして、その風が子供たちの一生を少し変える力になってほしい。